捕まえたの、俺だから。
「ふーん……先輩はこういうのに慣れてるんだ?」
壁と直くんの間でくすくす笑い続けていると、なにを勘違いしたのか直くんは拗ねたらしく唇を尖らせた。
……と思いきや、するりと私の右手を温かな手で包み込み、
「なっ」
「こういうのとか」
指を絡めて捕まえられた。
指先まで沸騰するように熱く感じられ、下の方で壁へと押し付けられた手の甲だけが冷やされる。
え、ちょっと待って。な、なんでこうなった?
直くんはどうしてこんなことをするの?
いや、それよりも直くんはどこでこんなの覚えたの?
私の知らない内に彼女が……っていやいや。
まず、私はどんな反応をするのが正解?
顔が赤くなってるのとか見られたら好きだって気持ちがバレちゃうんじゃ……。
顔を見られないようにと俯かせると、同時に落ちた視線が色の暗い地面を彷徨う。
あたふたするしかできない私は濃密すぎる空間から抜け出したいけど、それは難しそう。
捕らえられた手には一回目とは打って変わって、簡単には逃げられないほどの力が込められているから。