捕まえたの、俺だから。
「こういうのも」
直くんはなにを考えているのか、僅かに残っていた隙間を完全に埋めるように片腕と広い胸で私を包み込んだ。
片手は私を拘束したままで、加えて上半身ごと捕まえられている。
こんなことされたら当然ドキドキは最高潮で、今にも心臓が口から飛び出そうなくらい。
好きな気持ちがバレないように。ただの先輩なんだからこれ以上の欲は出さないように。
そうやって自分を抑えていた理性がどんどん小さく萎んでいく。
……もう、いいか。
彼女でもなんでもないけど……ちょっとの間だけ、直くんの腕の中で幸せに浸ってもいいよね。
気持ちがバレちゃったら、今日を最後にしてもいい。
だってこんなに嬉しいことってもうないだろうから。
ふっきれた私は重心を直くんへと預ける。
上の方で息を呑む音が聞こえたけれど、ぎゅっと込められた力が私を受け入れることを教えてくれた。
直くんの温もりを存分に感じていると、激しく暴れている私の鼓動と重なる音が耳に大きく伝わってきて。