経理部の女王様が落ちた先には
「・・・あ、麻美さま。」



フロアに私のピンヒールの音を少し響かせながら、そのヒソヒソと聞こえる声を無視していく。



昨日残業をして作成した資料が岸部長のチェックを通り、私が直接副社長に提出することとなった。



階段で1階上の副社長室に向かい、大きな扉をノックする。



少し経ってから扉が開き、顔見知りになっている秘書の男性が現れた。



「花崎(はなさき)さん、お疲れ様です。」



「お疲れ様です。藤岡副社長に資料をお持ち致しました。」



「ありがとうございます。
副社長ですが、少し席を外しておりますので、私から渡しておきます。」



お礼を伝え、副社長室を後にする。



少しだけピンヒールを履く足に違和感を覚えながらも、私は階段を降りていく。



数段だけ降りた時、9階と10階の踊り場から人が現れたことに気付き・・・




あ、と思った時にはもう手遅れで・・・




私の身体が・・・




ゆっくりと・・・





落ちた・・・。
< 6 / 213 >

この作品をシェア

pagetop