先生、私がヤリました。
「どうしたの?」

ビクッと女の子の肩が上下に動いたのが分かりました。
小さくて華奢な肩。
男の人なら簡単に連れ去れるんだろうなぁなんて考えちゃいました。

女の子はゆっくり私を見上げて言いました。

「無くしちゃったの。」

「無くした?」

「うん…。ママがくれた百円玉。」

女の子は俯いて黙ってしまいました。

私はしゃがんで女の子と目線を合わせました。
女の子は私の顔を見て、「もう一回喋って。」と言いました。

変なことを言う子だなって思いながら「なぁに。」と言ったら、ちょっと目を大きくして「女の人?」って言ったんです。

あぁそうか。
男の人だって思ってたけど顔を近くで見て、声を聞いてびっくりしたんだな。

「そうだよ。でも理由があって男の人のフリしてるの。」

「どうして?」

「内緒。」

女の子はまた俯きました。
構わずに私は聞きました。

「ジュース買いたかったの?」

「違う。」

「違うの?」

「うん…。」
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