先生、私がヤリました。
私の中では、ほぼこの子にしようって決まってました。

警戒心を解いて、優しいお姉さんだと思わせよう。
お姉ちゃんの言うことを聞くたびにご褒美をあげる。
ママに言わなくてもお姉ちゃんがなんでも叶えてあげるし、お友達と喧嘩することも無くなるよって思わせることで、この女の子のことも私の好きに出来るって思いました。

そこまでする必要があったのかって?
もちろんですよ。
意味の無いことって大嫌いなんです。

時間、お金、リスクをかけてまでこういうことをするのはハヅキくんの為で、それは結果的に全部先生に繋がります。

先生の為にすることに意味が無いことなんてありません。
全部いい結果になって自分に返ってきます。

…。
笑ってもいいですよ。

この時は本当にそう思ってたんです。

とにかく!
私はまず女の子の警戒心を解く為に、自分の財布から百円玉を取って女の子に握らせました。

ハヅキくんよりも少しだけ大きい手の平を開いて、女の子は目を丸くしました。

「これ…。」

「消しゴムが売ってる場所は知ってるの?」

「…うん。モトキ。」

「モトキ?お姉ちゃんそのお店知らないから一緒に連れてってくれる?その百円玉で消しゴム買って、お友達に渡しに行こう。」

「いいの?」

「そうしなきゃ絶交されちゃうでしょ。」

「絶交!?ヤダ!」

女の子はまた目に涙を浮かべました。
それから決心したように手の平をギュッと結んで、「こっち!」と歩き出しました。

「モトキ」は最近では珍しい駄菓子屋さんみたいな、個人経営のお菓子屋さんでした。

お酒とか煙草とか成人向けの物は置いてなくて、駄菓子とか妖怪のシールが当たる変なクジとかアヒルの形の容器に入ったシャボン玉とか。

親世代が見たら懐かしくて興奮しそうなくらい、典型的な駄菓子屋さんって感じのお店でした。
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