先生、私がヤリました。
それが、ハヅキくんの誕生日の一週間前。

登校するたびに謝っても目も見てくれなくて、消しゴムを借りる時よりも少し、机と机の間に隙間が出来たそうです。

弁償しようと思ったけれど、女の子は親にお小遣いを貰っていない。
誕生日やクリスマスとかのイベント以外は、欲しい物と理由をきちんと話して、その都度買ってもらうそうです。

友達の物を無くしたって親に話すのが怖くてなかなか言い出せなかったけれど、その日の朝、勇気を出して話したら、ママがちゃんと仲直りしなさいって百円をくれた。

その百円玉を握り締めて来たけれど、自販機の前で転んでしまって、その拍子に開いた手の平から百円玉は転がっていった。

そう言われてみれば、女の子の左の膝に擦り剥いた痕と、薄く血が滲んでいました。

見せてもらった手の平は転んだ時に地面に付いたんでしょう。
膝よりももっと擦り剥いてました。

「沁みると思うけど。我慢して。」

私はキャリーオンバッグの中から除菌シートを取り出して女の子の膝と手の平を拭きました。
ちょっと痛そうな表情をしながら、ジッと我慢してました。

百円玉を落としてから私が来るまでどれだけ時間が経っていたんでしょうか。
血は既に止まっていて、シートで拭った膝にも手の平にも擦り傷だけが残りました。
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