先生、私がヤリました。
第一ミッションクリア。
次のミッションはお友達の家に着いていくことです。

「ちゃんと仲直り出来るか見届けたいから。」

そう言って、案内させました。
この時点でもう女の子が断れないことは分かってました。

百円をくれた自分より大人の「お願い」を小学二年生に断れる勇気があるとは思えませんから。

女の子は素直に頷いて歩き出しました。
クラフト袋を大事そうに握り締めて。

「お姉ちゃん、ガラガラ重くない?」

「ガラガラ?」

「それ。」

「あぁ、コレね。大丈夫よ。今は軽いから。」

もうすぐしたらあなたがこの中に入って、そしたらちょっと重くなるけど、なんて言ったら女の子はどんな顔をして見せてくれたんでしょうか。

「そういう趣味」があるわけじゃないんでさすがに実際には言わなかったですけど、ちょっと思っちゃいましたね。

お友達の家は「モトキ」から割りと近い場所にありました。
三棟ある市営アパートの、二棟三の二号室がお友達の家でした。

三棟の建物の中心には公園とは呼べないくらいの敷地に古びたブランコと滑り台、小さくて円形の砂場がありました。

多分…、砂場だと思います。
もう随分長いこと整備がされていないのか、緑と枯れてベージュみたいになった雑草が入り混じって覆い茂ってました。

持ち主を失った畑みたいに見えて、多分砂場だった物、としか言いようがありませんでした。
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