咲き誇れ、麗しい華。

すると、後ろからプップーと車のクラクションが聞こえた。

振り向くと、「侑希く〜ん」と手を振りながら、教頭先生が運転席の窓から顔を出している。



「おはよう！」

「おはようございます。あれ、髪色変えました？」

「おっ、わかる？　最近白髪が目立ってきたから、思い切ってグレーにしちゃった」

「似合いますね〜。上品な色気が漂うダンディな男って感じがします」

「ふはっ、ダンディって。もう、侑希くんは褒め上手だなぁ」



目尻は下がって、口角は上がって。声は語尾に音符が付くくらい弾んでいる。


すごいなぁ……。

相手は自分の親よりも上の年齢で、その上、校内で偉い立場の人。

先生と関わる頻度が多いのは知ってはいたけれど……それでも、こんな堂々と、さらに褒め言葉まで付け加えられるなんて。


こういうのって世渡り上手って言うんだっけ。会社員だったら最年少でスピード出世してそう。

もし付き合ったら、デートするたびに「可愛いね」って褒めてくれたりするのかな……。