咲き誇れ、麗しい華。
職員室前の廊下を横並びで歩く。



「心臓が飛び出るんじゃないかってくらいヒヤヒヤしました」

「そうだね。俺も、心臓バクバクしてた」

「あの、庇ってくださってありがとうございました」

「いえいえ。誰も何も……被害が出なくて良かったよ」



昇降口に到着し、下駄箱を開ける。


……なんだか、様子が変? 声に元気がないというか。表情もちょっと硬かったし。まだ恐怖が抜けきれてないのかな。



「先輩、お待たせし──」



靴を履き替えて外に出た途端、飛び込んできた光景に目を見張った。



「だ、大丈夫ですか!? どこか、具合でも……」

「大丈夫。ちょっと、めまいが、しただけ」



困ったように笑いながら、うずくまっていた体勢から階段に座り直した侑希先輩。


顔面蒼白で、手も背中も震えていて。めまいにしては症状が多すぎる。

今すぐにでも、先生か、幼なじみ2人を呼んだほうがいいのではないだろうか。


だけど……。



「ごめん、もう少し、このままでいい?」

「はい……」



なんとなく、1人にさせちゃいけない気がして。

深呼吸を繰り返す彼の背中に、そっと手のひらを当てた。
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