咲き誇れ、麗しい華。

真相と届かない思い

侑希side



今振り返ると、俺は恵まれた生活を送っていたと思う。


学校では、幼なじみ2人とバカ騒ぎして盛り上がって。

放課後は、部活仲間と汗を流して。

家に帰れば、心優しい家族に囲まれる。


明るく、平和で、穏やか。
誰もが羨むような、幸せいっぱいの日常。


これからも当然、ずっと続くと思っていた──。




「紅葉、綺麗だね」

「はい。とても」



日が暮れてきた午後5時。

公園のベンチに腰かけて、グラウンド脇の色づいた木々を眺める。



「さっきはビックリさせてごめんね」

「いえいえ。めまいは治まりました?」

「うん。もう大丈夫」



すると、サッカーボールがバウンドしながら転がってきた。

前を向いたら、小学生らしき集団が「すみませーん! 蹴っていただけますかー!」とこちらに手を振って呼びかけている。
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