咲き誇れ、麗しい華。

御守りとカップケーキに込めた想い

「みんな美味しそうだね〜。愛美ちゃんはどれ食べたい?」

「そうだなぁ。焼き菓子が好きだから、焼きドーナツかパウンドケーキかな」

「焼き菓子いいよね〜! 私も焼きドーナツ大好き! チョコ系ならガトーショコラか生チョコかな〜」



バレンタインデーを来週に控えた、水曜日の昼休み。

図書室で借りてきたお菓子作りの雑誌を見ながら、好みのスイーツを発表し合う。



「愛美ちゃんは、今年のバレンタインは誰かにあげるの?」

「うんっ。家族と塾の先生と……大隈くんに」

「ええっ! それって、もしかして……?」

「……うん。実は、小学生の頃から」



照れくさそうに下を向いて笑った彼女。


先月の席替えで同じ班になった御堂 愛美(みどう めぐみ)ちゃん。

黒縁メガネに三つ編みヘアが特徴で、今学期のクラス委員を務めている。



「小学校の時はお菓子禁止だったから、今年は渡せたらなって」

「そうなんだ……! 何あげるかは決めてるの?」

「うん。カップケーキにする予定。前にスーパーで会った時、マフィン買ってたから。種類はちょっと違うけど、喜ぶかなぁって」
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