咲き誇れ、麗しい華。
「……私の気持ち知ってるでしょ? あとで話すつもりだったんだから怒らないでよ」



やっと口を開いたかと思えば。悪びれた様子は一切見当たらず、開き直った態度。


想いを寄せているのは、1学期の頃から知っていた。ただ、タイミングが悪かっただけ。

私があの場にいなかったら、ややこしくならずに済んだかもしれない。


けど……。



「……それでも、ずっと嘘をついていたことには変わりないよ」



震える声で言い返し、真子の両腕を掴む。



「真子だって、なりすましされたら嫌でしょう!?」

「あぁもう、しつこいなぁ。しょうがないじゃない! あんた麗華って顔じゃないでしょ!?」



吐き捨てられたセリフに、思わず耳を疑った。

なに、それ。顔? 私が名前負けしてるって言いたいの……!?



「ひ、ひどい……っ! 真子のバカっ!」



突き飛ばしてその場から走り去る。


今まで散々いじられてきても、笑って流してきた。

多少頭にくることがあっても、そういう性格だから、悪気はないんだって。深刻に受け止めないようにしていた。


けど──。



『あんた麗華って顔じゃないでしょ!?』



たとえ冗談だったとしても、あの言葉は、どうしても許せなかった。


トイレに駆け込み、チャイムが鳴るまで声を殺して泣いた。
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