政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「ごめんね。なるべく普通にしていたつもりだった」

「あれで普通にしているつもりだったなら、とんだ大根役者だ」

「ひどい」

「恵茉は俺には嘘をつけないよ」

 ふっと笑って唇に噛みついた涼成さんに押し倒され、柔らかなクッションの感触を背中に受けて拍動が激しくなる。

「好きだよ、恵茉」

 愛おしそうに私の名前を呼び、今度は丁寧な口づけを落とす。

 優しくされて、幸福感で心が満たされる。サラサラの髪に手を伸ばして撫でると涼成さんの身体がぴくりと跳ねた。

「そうやって、煽るなよ」

 眉を下げて苦い笑いをこぼしたあと、立ち上がった涼成さんは私を軽々と横抱きにした。

「ひゃっ」

 驚いて綺麗な首に抱きつく。

 涼成さんはよろめくことなくスタスタと歩いて、寝室に入り私をベッドに下ろした。それからすぐに覆い被さって私の目元に指を這わせる。

(くま)ができてる。毎朝早くに起きて寝不足だよな」

 あっ……と、触れられていない方の目元に手を置く。ずっと化粧で誤魔化していたのをすっかり忘れていた。
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