政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
 彼がディナーの場所に選んだのは、ホテル地下一階にある日本料理の店だった。

 大富豪の男性からのお誘いだから、なんとなくドラマや映画で見る高層階で夜景が望めるレストランというイメージを持っていたので、いい意味で期待を裏切られた。

 きらびやかなものは素敵だけれど、ほっと息をつけるような安心感のあるものが私は好き。久我さんもそうなのかな。

 数奇屋風の店内は趣があり、四名ほどが座れる掘りごたつの個室に案内されて互いに向き合う形で腰を下ろした。

 ここでは旬の素材を吟味した本格的な懐石をはじめ、こだわり抜いた食材を用いた四季折々の味覚を心ゆくまで楽しめるという。

 短時間でいろいろな出来事があって疲れている。心身がエネルギーを欲しているような感覚があったので、黒毛和牛のサーロインステーキコースを頼むことにした。

 久我さんは私に合わせてくれたのか同じものをウエイターに注文する。同じ料理を食べた方が味の感想を言い合えたりするものだから。
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