政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「これで懲りただろうけど、念のために監視カメラの映像は残しておくように伝えてあるから。見たくないものだろうし、データはこちらで保管する。必要になったら連絡をして」

「なにからなにまでありがとうございます」

「仕事と言っていたけど、俺からは個人的な用事に見えた。まさか愛人契約についてではないだろう?」

 やっぱり聞かれていた。苦い笑いを浮かべて首をすくめる。

「仕事というか、うちが所有する土地を地上げしたいという申し出があったので、話を聞いていただけです」

「例の柳沢家の土地か」

 なにもかも把握している物言いに複雑な心境になる。

 やっぱりうちについて知っているんだ。

「久我さんがご存じということは、それほどまでに柳沢家の土地には価値があるんですね」

 それならなおさら手放したくない。生活が苦しいからという理由だけで他人の手に渡したら絶対に後悔する。

 どうにかならないかな……。

「その言い方は、俺がどこの誰だかわかっているんだね」

「もちろんです。仕事は不動産関係ですし」

「一般企業に勤めているのか」

 久我さんは目を開いて動きを止めた。

 お嬢さまと呼ばれる立場の私が企業勤めしていて驚いたのだろう。
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