政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
 柳沢家が裕福だったのはお父さんが生存していた頃の話だ。もちろん今でも十分な暮らしはできているが、運用できていない膨大な土地を管理し続けていたら近い将来破産する。

 会話の途中ワインと料理が運ばれてきて乾杯をする。久我さんが選んだワインは口の中で固体感を感じるような硬さがあり、しっかりとした味わいだ。

「気に入った?」

 無意識に顔の筋肉が緩んでいたのか、私の表情で満足しているのを確認したようだった。

「美味しいです」

「柳沢さんは若そうに見えるけど、その歳でワインの価値がわかるのはさすがだね」

「何歳だと思ってます? 一応、二十四歳ですよ」

 この手の反応には慣れている。実年齢を知らなければ成人したて、下手をすると十代と思われてもおかしくない。

「それくらいには見えるよ。ただ三十二歳の俺からしたら、八歳下はかなり若々しく感じる」

 年齢差を具体的な数字で表され、そんなに歳が離れていたら私は子供にしか見えないだろうと思い胸がざわつく。

 ……私ったらなにを気にしているの。彼の生き方に密かに憧れを抱いていただけであって、好きなわけではないのに。

 自分の謎の感情に戸惑って急に体温が上昇する感じがした。
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