政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
 ……浅はかだったな。なにが妹みたいだ。

 こんな短期間であどけない笑顔や愛らしい仕草に女性としての魅力を感じ、芯が強そうな言動に目が覚めるような感覚を覚え、恵茉にどんどんはまっているのに。

「涼成さん、もしかして寝てる?」

 身動きを取らず抱きしめたまま物思いに耽っていたので、恵茉が不思議そうな声をこぼした。

「寝てない」

 笑って腕の力を緩めて距離を取り、パーマのかかった柔らかな髪を丁寧に撫でる。恵茉は俯いてされるがまま。

 打算で作り上げた出会いではなく普通に出会いたかった。でもそうなるとこの腕に恵茉を抱くこともなかったのかもしれない。

 さっきはうれしい言葉をもらったけれど、あくまで俺の仕事ぶりに憧れていたというだけで、男として好きと言われたわけではない。

 夢を実現するため自分を不動産王である俺に売っただけなのだ。
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