政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「もっとお洒落すればよかった」

 恨めしい目を向けると涼成さんは首を傾げる。

「ドレスコードはないんだ。それに今日も恵茉は可愛いよ」

 不意打ちで甘い言葉をもらって心臓が壊れそうなほど鼓動する。

「……子供っぽいでしょ」

「いや、別に。綺麗な脚を俺意外の男に見せるのはもったいないとは思うけど」

 全身が燃え上がるように熱くなった。

 涼成さん、どうしたんだろう。

 朝から薄々思っていたけど、私を見つめる眼差しが甘いような気がする。キスをしたから少しは女性として見てくれるようになったとか?

 この状況にまだ頭が追いついていない私にかまわずディナークルーズは始まる。

 ウエルカムシャンパンで乾杯して早速アミューズ、続いてオードブルをいただく。車は運転代行サービスを利用するらしい。

「前から予約していたの?」

「ああ。昨日か今日で迷ったけど、指輪を受け取ってからの方がいいかと思って」

「え、じゃあ……」

「夫婦になったお祝いだよ」

 真綿で包まれるような優しい笑顔になった涼成さんから顔を逸らす。

 どうしよう。ドキドキしすぎて久しぶりに目が合わせられない。

「ありがとう。一生の思い出になりそう」

「喜んでもらえたならよかった」
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