政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「料理は好きだし、誰かのために作るのは楽しいの。それで、たまにこうして涼成さんと外食できたらうれしい」

 昨日も今日も涼成さんは私が作ったものを美味しいと言って完食した。その時すごく心が満たされるのを感じ、彼のためにこれからどんな手料理を振舞おうかと考える時間は幸せだった。

「わかった。ありがとう、恵茉」

 涼成さんの優しさがくすぐったい。

 最初に交わした取り決め通り、私に歩み寄ろうとしているのがわかるから、そこに愛がなくても意外と悲しくはならない。

 それでもやっぱり、身体の関係を持つのは涼成さんが私を好きになってくれてからがいいな。しかしそれを待っていたら何年後になるのか。

 昨晩だって大人の男女が同じベッドで寝たというのに、涼成さんは手を出す気配すらなかった。

 化粧を落としてさらに子供っぽくなった私には欲情しないのだろう。

 その点についてだけは気がかりだ。歳を重ねたらおのずと色気もつくのか、そんなことを考えてばかり。
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