政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「ありがとう。もうお酒は飲まないんだね?」

「酔って恵茉に優しくできなかったら嫌だから」

 素朴な疑問にとんでもない返事が返ってきて、危うく水を口から噴き出しそうになった。

「しっかり乾いているな」

 涼成さんは私の髪に濡れている箇所が残っていないか表面を触って確認している。

「生乾きだったら心配するでしょ」

「それはもちろん。風邪を引いたら困るだろう」

「子供扱いしなくても、それくらいで風邪を引いたりしないよ」

 それまで頭皮に触れるか触れないかという力加減だったのに、私が不平を漏らした途端に頭を掻き抱かれた。

 驚きで手元が揺れ、水がこぼれる……とグラスに神経を注いでいる間に唇を奪われる。

 強く押しつけた唇が離れるのを待って恨めしい目を向けた。

「危ないよ……」

 強く言えないのは、キスの余韻で胸が破裂しそうなほど高鳴っているから。
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