私の嘘と彼女の真実
だからこそずるずると、セフレ関係を続けていた。

「見直した?
だったら抱かせて?」

眼鏡の奥からきゅるんと潤んだ瞳が見ているが、まったくもって可愛くない。
そういうところが嫌で、別れたんだが。

「だーかーらー。
ヤんない。
頼むなら、他の人に頼みな?」

そもそも、妻の親友にヤらせてくれとか頼むのが間違っているのだ。
そういうのは他を当たってほしい。

「えー、俺は季実枝がいいの。
一緒に秘密を抱えるのなら、……季実枝がいい」

伸びてきた手が季実枝の頬をするりと撫でる。
眼鏡の向こうで目尻を下げ、うっとりと和史が自分を見ている。
まるで酔いが回ったかのように一気に頬が熱くなった。

……ズルい。
そんなふうに言われたら、嬉しくなってしまう。

「……わかった」

自分は今、茨の道へと足を踏み入れようとしている。

「いいよ、シよ」

季実枝の答えを聞いて、ニィッっと和史の口角がつり上がった。
わかっている、これはただヤりたいだけの彼の口実だって。
それでも季実枝はその一歩を踏み出した。



一度外れた箍は簡単には直らず、ずるずると関係を続けていく。
< 18 / 32 >

この作品をシェア

pagetop