私の嘘と彼女の真実
それくらいできれば、和史だって季実枝と不倫なんてしていないだろう。

「……季実枝ちゃんの意地悪」

みるみる目に涙を溜め、友子が俯いてハンカチで目もとを拭く。
いつもだったらそれで申し訳ない気持ちになっていたが、今はただ鬱陶しいと思っているのはなんでだろう?

「……ごめん」

それでも泣かせてしまったのは決まり悪く、口先では謝ってみせた。

「……季実枝ちゃんがそんなに意地悪だなんて知らなかった」

なのにまだ、友子はくすんくすんと泣き続けている。
だから和史は友子に愛想を尽かすのだと口をついて出そうになったが、なんとか押し止めた。

「だからごめんって」

心の中で大きなため息をつき、カップを口に運ぶ。
冷めたコーヒーは妙に苦く感じた。

「……私もう、立ち直れない」

はぁーっと、とうとう季実枝の口からため息が落ちる。
友子はこんなに、面倒くさい人間だっただろうか。
それとも、和史からいろいろ聞いているからそう感じるのだろうか。
とにかくこのまま会話を続けるのが季実枝には憂鬱で仕方ない。

「だからごめんって謝ってるでしょ?
他になにしたらいいの?」

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