私の嘘と彼女の真実
「えー、くれないのかよー」

和史は不満そうだが、そんなもの渡したら一発で友子にバレてしまう。
彼がなにを考えているのかわからず、頭が痛い。

「じゃあさ、せめて一緒に過ごさない?
友子より季実枝に祝われたい」

真剣な目で和史は眼鏡の向こうから友子を見ている。
もし和史の誕生日、季実枝と彼が一緒に過ごしたら、友子はどうするのだろう。
作った料理を前に、泣きながら彼を待つんだろうか。
それは……あり、かも。
浮かんできた考えにはっとした。
和史と不倫していてなんだが、親友は大事にしたい。
でも、……私だって好きな人の誕生日を一緒に祝いたい。
ああ、そうか。
私は和史が好きなんだ。
自覚すると、たとえ親友でも彼を渡したくなくなった。

「そう、だね。
それもいい、かも」

それでもまだ友子に後ろ暗く、同意しながらも途切れ途切れになってしまう。

「やった。
じゃあ、いいホテル予約するな。
あ、いや、俺の誕生日なのか。
ま、いっか」

「楽しみにしとく」

笑う和史に笑い返しながら、これでいいのだと季実枝は自分に言い聞かせていた。



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