私の嘘と彼女の真実
それから半月後の和史の誕生日、季実枝は彼と一緒にホテルで過ごしていた。

「ほんとに帰らなくていいの?」

ベッドに押し倒されながら、それでも不安になった。

「泊まりで出張だって言ってある」

「友子はなんて?」

そんな嘘、通じるんだろうか。
このところ、頻繁に会っている。
それに気づかないほど、友子が鈍感だとは思えない。

「誕生日に出張なんて大変だね、お祝いは帰ってきてからしようね、だってさ」

夫は浮気しているのに少しも疑っていないなんて、友子はどこまで脳天気なんだろうか。

「そう。
じゃあ今日はゆっくりできるね」

「ああ」

手を伸ばして和史の首に腕を絡め、自分から彼に口付けした。

「誕生日、おめでとう」

「ありがとう」

顔を見合わせ、互いに微笑み合う。
年に一度しかない和史の誕生日を、妻の友子ではなく自分が祝っている。
季実枝は密かに、優越感に浸っていた。

「愛してる」

自然と口から、気持ちが漏れていく。
彼を、自分だけのものにしたい。

「俺も愛してる」

今度は和史から唇が重なる。
口を開いて、彼を向かえ入れた。
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