私の嘘と彼女の真実
和史に電話をかけかけてやめた。
駅まで足早に歩き、適当な電車に乗る。
最初からわかっていたではないか、和史はただヤりたいだけだって。
愛してるとか言いながら、そこに心はないのだと知っていた。

流れていく窓の外をぼーっと眺める。
和史の言葉がどこまで嘘でどこまで真実かなんてわからない。
それに、季実枝には確かめようなどという気はなかった。
ピコンと携帯が通知音を立て、携帯の画面を見る。

【明日、会えないか】

和史からのメッセージを見て、ため息が落ちていく。
彼は妻に浮気がバレているなんて、少しも気づいていないんだろうか。
嘘までついて自分を抱いて、罪悪感はないんだろうか。

「……もう全部、どうでもいい」

ぼそりと呟き、和史とのトークルームを開く。

【別れよう。
さようなら】

それだけ打って送り、彼をブロックした。
そのうち、海が見えてきたので電車を降りた。
駅を出てとぼとぼと歩き、砂浜に出る。

「いい天気だなー」

空は季実枝の心とは反対に、雲ひとつなく青い。
太陽の光が反射して、水面がキラキラと輝く。
それを見ていたら、急に夢から覚めた気がした。
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