憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました


***


(私は、会いたくなかった……)


立花診療所に向かって歩きながら、由美は歯を喰いしばって涙をこらえていた。
忘れたくても忘れられない、短い夏の間だけの燃えるような恋の相手だ。

(もう二度と、あんな思いはしたくない……)

だが恋にすべてをかけた結果、由美の心も体も酷く傷ついたのだ。




夏が終わって、直哉はサンフランシスコへ行ってしまった。
気持よく送り出せたと思ってはいたが、直哉に当分会えないと思うと由美は寂しくて仕方がなかった。
電話やメールだけでは物足りない。
それくらい、初めての恋に由美はのめり込んでいた。

(直哉さん、どうしているかな? 会いたいな……)

ほんのひと月離れただけなのに、会いたくてたまらない。
由美は、なんとか時間をつくってサンフランシスコまで会いに行こうと決めた。
とても彼が帰国するまで待てなかったのだ。

彼に連絡すると、『嬉しい。待っている』と返事をくれた。

十一月に入ってすぐに、由美は関西国際空港からサンフランシスコへの飛行機に乗った。
大学の課題やバイトをこなして忙しかったせいで疲れは溜まっていたが、彼とほんの数日でも過ごせると思うと10時間の空の旅が苦にならない。


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