憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました


五月の言葉を聞いて、森医師まで便乗している。
どうやって断ろうかと思うと、由美は食事どころではなくなった。

家族にも友人にも、直哉との過去は話していないのだ。
森医師や美也子たちは彼が裕実の結婚相手の候補だなんて思いもしないだろう。
楽し気にしている美也子にその話をするのも憚られる。

「柘植先生もお忙しいでしょう?」

直哉から断ってもらおうと思ったのだが、森医師が本人に確認してしまった。

「どうなの? 柘植先生は忙しい?」

「僕は由美さんに用事があったので、時間はたっぷりあります」
「用事なんて……ないでしょ?」

由美は冷たく言ったが、直哉は引かない。

「ちょっと車で出かけませんか?」

けろりとした顔で直哉はドライブに誘ってくる。
森医師も五月も、由美が遠慮していると考えたのだろう。

「由美先生はこのところ忙しすぎたんだから、気分転換に出かけておいで」

ダメ押しのように森医師から言われて、由美はしぶしぶ頷いた。


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