憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
由美はそれならと、食事が終わるとすぐに出かけることにした。
直哉があの場に溶け込んでいたから、ふたりの過去になにがあったか話してしまうのではと怖くなったのだ。
「じゃあ、由美さんをお借りします」
「すぐ帰ってきますから」
ちぐはぐな挨拶をして、ふたりは家を出た。
直哉の運転する車に乗って、あてもなく出発した。
「どこへ行く?」
「どこでもいいわ。近くでいいの」
「急に訪ねてすまない。こうでもしないと会ってもらえないと思ったんだ」
右ハンドル車に乗って日本の道を走るのに慣れていないのか、直哉は慎重な運転だ。
首都高速に入ったので、湾岸線を通って海沿いにある公園へ向かっているのだろう。
「たまには海を見るのもいいだろう?」
わざわざ秋の海へ行くつもりなのかと思ったが、由美は黙ったまま助手席に座っている。
「どうしても、君とゆっくり話したいと思っていたんだ」
直哉が前を向いたまま、真剣な口調で話し始めた。
「許してくれとは言えないが、君の誤解だけはどうしても解いておきたかった」
直哉の言葉を聞くと、由美の心は平静ではいられない。
五年前の辛い記憶が、否が応でも蘇ってくるのだ。
「私が立花家の養女だって、もうわかっているんでしょ」
なるべく冷静に話そうとしたが、由美の声は震えた。
「ああ、長谷川由美だとばかり思っていたから驚いたよ」
「それなら家族の手前、私と関わらない方があなたのためだと思うけど」
「裕実さんとの結婚話のことか?」
直哉がストレートに口にした。