グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~

 セシレーヌはそのまま別荘へ帰って来た。

「セシリア、養女縁組の手続きが無事に終わったよ」
「本当ですか? 」
「ああ、これで正式に私の娘になったから安心して」
「有難うございます」

 そっと微笑んだセドリシアは、セシリアに歩み寄って来てそっとお腹に触れた。
「この子も安心して産んでいいから」
「はい。でも…大丈夫でしょうか? どうやら、双子のようなのですが」
「一人でも二人でも、大丈夫。南グリーンピアトの屋敷には、大勢の使用人がいるから心配しなくていいよ」

 まるで自分の子供が生まれてくるかのように、セドリシアは喜んでいた。

 
 今日で病院も退職したセシリアは、2日後に南グリーンピアトに行く事になっている。
 クラウドルが紹介してくれた親友の医師に頼り、一人で出産を決めている。

 お腹の子供のも父親は、ジュニアールで間違いはないと思われるがこのまま黙って去ってゆくつもりなのだ。


 
 翌日。

 大々的にイディアの妊娠が偽造である事が報じられた。
 クラウドルが警察に証拠を持って行き、どうすべきかを相談して、これは報道から始まった事ゆえに法で裁く事は勿論だが真相は報道すべきであると判断された。


 イディアの元へ警察が行くと「間違いなく国王様の子供です」と言い張っていたイディアだが、血液検査の結果などを突きつけられると何も言えなくなったようだ。
 協力者のトワイヤルは、素直に応じているようだ。

 トワイヤルは小さな頃から両親に、いつも「パーフェクトでならなくてはだめだ! 」と言われて育ってきた。
 それ故に幼稚園から名門私立へ入り、大学まで全て首席で通って来て、医師免許もストレート合格している。
 全てにおいて「パーフェクト」だったトワイヤルだったが、国立病院へ来た時、クラウドルが院長であったがトワイヤルの方が院長に向いているのではないか? という声が上がり、一時期クラウドルではなくトワイヤルを院長にするという話が出たが、トワイヤルはある貴族夫人の子供を死産させてしまったのだ。
 医師側に問題があったのか、母体に問題があったのかはハッキリとは不明だったが、緊急搬送されて来た時トワイヤルは自宅にいたが呼び出しから1時間以上も経過して病院へやって来たようだ。
 その間、他の医師が対応していたがトワイヤルはそのまま自然分娩で構わないと診断して自然分娩で対応していたが、お腹の中で赤ちゃんの首にへその緒が絡まっていて帝王切開しなくてはならなくなった為、母体甘水なしでお腹を切られる事になった。
 他の医師は運ばれて来た時から、帝王切開しなくては母子共に危険ではないかと言っていたが、トワイヤルは電話で対応しながら自然分娩で良いと言い続けていたのだ。
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