グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
「ねぇ、お姉ちゃんがお父さんの事を助けてくれるんでしょう? 」
助けてくれるって…まだ手術は成功したって決まったわけじゃないけど…。
不愛想のまま何も答えないセシレーヌに、ミディスは歩み寄って来た。
「ねぇ、お姉ちゃん。お姉ちゃんお顔って、とっても綺麗なんだね」
何を言い出すの? 見れば判るでしょう? 醜いって。
嫌味でも言っているかと思ったセシレーヌは、何も答えず黙っていた。
「お姉ちゃん。私のお母さんになってくれない? 」
「はぁ? 」
お母さん? 何をバカな事を言っているの?
ムスっとした目でミディスをじっと見たセシレーヌ。
ミディスは真顔で何の屈託もない表表情のまま、セシレーヌを見ていた。
「私ね、本当はお母さんが欲しいってずっと思っていたの。お父さんが嫌いとか、そうゆうのじゃないけどね。お母さんじゃないと、話せない事ってあるもの。だから、ずっとお母さんになってほしいって思える人を探していたの」
「何言てんの? 私なんか、身分も違うし世界も違うから…」
「死んじゃったお母さんも、平民だったんだよ。音楽家だっただけで、お姉ちゃんと同じだよ。何が違うの? お婆ちゃんだって、平民だった人だよ。それに、お姉ちゃんは沢山の人を助けて来た。すっごく偉い人だと思うよ」
「偉くなんかない…」
「なんで? 」
フイッと視線を反らしたセシレーヌは、遠い目をした…。
「私は…人の命を奪って生きている、ただの卑怯者だから…」
ミディスはキョンとした目でセシレーヌを見ていた。
「…アンタの母親が死んだのは…私のせいだから…」
「え? 」
驚いたミディスだが、ポワっとセシレーヌの後ろになくなたメイシスの姿を見た様な気がした
「私は、あんたの母親を殺した…。アンタには一生恨まれ続けるその覚悟はあるから」
「お母さんを殺した? そんなの嘘だよ」
「本当だよ。私のせいで、あんたのお母さんは死んだ…。だから、二度と近づくんじゃないよ! 」
それだけ言うと、セシレーヌは去って行った。
「お母さんを殺したなんて…どうして、そんなウソを言うの? 」
茫然と佇んでいるミディスは涙ぐんでいた。
そのままセシレーヌはお城の玄関まで戻って来た。
セシレーヌが戻ってくると、クラウドルが玄関から出て来た。
「セシレーヌ、戻るぞ」
待たせていた車に乗り込んだクラウドルとセシレーヌは、そのまま病院へと戻って行った。