グリーンピアト物語~命を紡ぎ愛を紡ぐ奇跡~
2人を見送ったジュニアールは、満足そうに微笑んで見送っていた。
「お父さん」
「おや? ミディス。どうかしましたか? 悲しそうな目をしていますね」
「…お父さん、お母さんは誰かに殺されたの? 」
「え? 」
「さっき…あのお姉ちゃんが、お母さんの事を殺したって言っていたの」
「お姉ちゃん? 」
お姉ちゃんて誰の事だろう?
そう思ってジュニアールはふと、ミディスの頭上を見ると。
セシレーヌとミディスが話している様子が見えてきた。
ああ、セシレーヌ先生の事なんだね。
確かにミディスから見ると、歳の離れたお姉ちゃんのよう見えるな。
「お父さん、私…お母さんが欲しいの」
ジュニアールの腕にギュッとしがみ付いて来たミディス。
「やっと会えたの。お母さんになってほしい人に」
「そうですか。実は、私も同じ事を思っていたのです」
「父さんも? 」
「ええ。ですから、手術の執刀をお願いしました」
「そうなんだ」
泣きそうな目をしていたミディスだったが、ニコっと笑顔になった。
「あのお姉ちゃんなら、お母さんになってほしいの。とっても綺麗なお姉ちゃんだもん。でもね…お母さんの事を、殺したって言っていたの。とっても苦しそうな声で」
「そうだったのですね」
ひょいと、ミディスを抱きあげたジュニアールは目と目を合わせてニコット笑った。
「心配しなくていいよ、ミディス。セシレーヌ先生は、とっても優しい人だから心も傷つきやすいだけなんだよ。手術が終わったら、ちゃんと話してくるからね」
「うん。でもちょっと心配なの」
「何が心配なんだ? 」
「お姉ちゃん、黒魔法が使えるみたいなの。さっき、何か思いつめていたようで気の枝が折れたの見たの。あんまり黒魔法を使ている、お姉ちゃんが傷ついてしまうから」
「そうだったんだ。大丈夫、心配しないで」
ヨシヨシと、ジュニアールはミディスの頭を撫でて安心させた。
命がかかっている手術を、始めた出会ったセシレーヌにお願いしますと言ったジュニアールの真意はなんなのか?
ミディスがお母さんになってほしいと、セシレーヌを見て言い出したのは何故なのか? そして見るからに病人よ呼んだ方が相応しい容姿のセシレーヌに、綺麗な人と言ったのは何故なのか? … …