夜明けの天使たち
だから、私は早くこの田舎と決別をしたかった。



孤独だった私には、東京でOLをしている美和子さんというペンフレンドがいる。

今時、ペンフレンド?と思われるかもしれないが、私には連絡を取るような友達も居なかったので、ケータイなど必要なかったのだ。

かつて、私がつらい現状を打ち明けたせいだろうか。

美和子さんは、上京したいなら、一緒に住もうかと誘ってくれた。

だから私は、指折り卒業式を待っていたのだが、2月になって突然、この話は中止に。

生涯独身のつもりで、マンションまで買ったという美和子さんだが、急遽、出来ちゃった結婚をすることになったからである。

もちろん祝福の言葉は伝えたけれど、行くあてがなくなったことに参ったのも本音だ。

しかし、美和子さんは義理堅い人なのか、買ったマンションを極力安く貸してくれた。

更に家賃を浮かすため、彼女の遠縁の子とルームシェアすることにもなっている。

住む部屋とルームメイトも決まり、安堵した私は、卒業と同時に、この忌まわしい田舎と決別し、勢いだけで上京した。
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