夜明けの天使たち
彼の想い
驚くほどの強い力で腕を引かれ、気付けばレイくんに包み込まれている。

強引さの欠片もない人だとばかり思っていたのに。

「外の空気吸うって言って出ていって、そのまま二度と戻らないつもりだったでしょ…?」

流石にそこまで唐突に引っ越してしまうつもりはなかったものの、ここを出ていくと決心したのは事実。

言葉が出ない私に、

「僕は、これといって何も持たずに上京してきたし、失うものなんてないと思ってた。それが、アキラさんと出逢って、どうしても失いたくないものが見つかったんだよ…?他にも、少しずつ手にしていったものはあるけど、そんなものは、全部なくしても構わない。他のすべて失っても、アキラさんだけは絶対に失いたくない!」

回された腕に、力が込められた。
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