お邪魔虫にハッピーエンドを
変わった姿を見せるのは、直接会ってがいい。
変なこだわりだと思われても、そこはゆずれなかった。
『ま、桜葉ってほんとに恋愛とかに興味なさそうだし。このままいけば、杏子が恋の相手になったりするんじゃない?』
『ええ!? そう簡単に、いくかなぁ……』
『なに驚いてんのよ。幼なじみがとびっきり綺麗になって帰ってきて、そんで好意を寄せてきたら少しは意識するでしょ』
私だって期待していないわけじゃない。
今の私ならもっと堂々と景に向き合うことができるし、前とは違う姿に気持ちが揺れたり……とか……あるかもしれないし?
『漫画みたいな展開に、なったりしたらどうしよう……!』
『でた、少女漫画脳。でもめでたいじゃん。あたしはそうなる可能性のが高いと思うけど、いまの他人に無関心な桜葉を見てるとさ』
住む場所は離れても、景と一番近しい関係は私。
ユキにも断念されて、私は少々浮かれてしまっていた。
これが、高校一年生の春のことだった。