観念して、俺のものになって
シャワーを浴びて一息つくと、
だんだん冷静になってきた。
ベッドにうつ伏せになって、枕を抱え込んだ私はスマホのブラウザを立ち上げる。
「よく考えたら同じようなことされた人がいるかもしれない!きっとなにか、解決方法があるはずだ!」
『婚姻届 無効 手続き』
『婚姻届 勝手に出されたら』
思い立ったら即行動ってことで、私が早速検索をしていくと、弁護士が見解を述べた記事などがちらほら出てきた。
「……なになに、婚姻届が偽造のとき?
いや、あれは区役所の正式なものだよね。
婚姻の意思がない訳でもないし、当事者が提出していない場合にも当てはまらない。うーん」
ブツブツ独り言を言いながら画面をスクロールしていく。そして最後の行を読んで思わず枕に突っ伏した。
”そもそも、婚姻届という大切なものを軽々しく書いてはいけません”
その1行が私の心にグサッと刺さり、
枕に顔を埋めたまま奥歯を噛みしめる。
ううう、言われなくても分かってるよ!
私が迂闊だったのは!
言い訳をさせて欲しい。
紬さんがお客さんに付きまとわれて本当に困っていたみたいで、いつも美味しい珈琲を頂いてるんだから協力してあげたいなぁって思ったんだよ…!
私はガバッと枕から顔を上げ、
また検索結果に視線を落とした。