観念して、俺のものになって
「相手に無断で婚姻届を提出した場合はそもそも無効です……これだ!!」
いくつか弁護士事務所のブログのページを開き、探していた情報を見つけた私は拳を握って小さくガッツポーズをする。
そうだよね。私に婚姻の意思はないのに勝手に出されて受理されたら、たまったもんじゃないよ!
そして、再び画面を読み上げた。
「えっと…… 裁判所に調停を申し立てることで婚姻を無効にすることが可能?」
『調停』ってなんだろう?
次にその言葉を調べてみると『訴訟ではなく話し合いをして、お互いが合意することで解決すること』ということが書かれている。
なるほど、私も裁判とかそこまで大事にはしたくない。
もしそうなるなら、彼に私が調停を起こすつもりだ、ということは言っておいた方がいいのかも。
それに、冷静に考えてみれば『婚姻届を出した』というのは紬さんなりのブラックジョークっていう可能性もある。
一瞬そうだったらいいなと思ったけど、あの人はそういう冗談を言うタイプには見えないんだよなぁ。
「連絡……」
そうだ、名刺!
あれに電話番号が書かれているはず!
咄嗟に財布を開けた私は、目的のものを見つけられずハッとした。
そうだ、私あまりのことに腹を立てて、あの時お金と一緒に名刺を突き返したんだった!!
しかも、紬さんの電話番号をスマホに登録するのも後回しにしていたから連絡先もわからない。
「もうっ、私のバカ!!」