観念して、俺のものになって
顔を上げた店長がくるっと私の方へ向き直り、申し訳なさそうに両手を合わせる。
「君も突然巻き込んじゃってごめんね」
眉を八の字に下げて、子犬のような目で見つめてくるからちょっとかわいいなんて思ってしまう。
簡単に許してしまいそうになる。
イケメンって得だなぁ。
本当だよ、と言いそうになったけど.....あの状況だったら、ああしないと女性が引き下がらなかったかもしれない。
だから、大目に見てあげよう。
「あ、はい。大丈夫です」
「とりあえず座って待ってて」
もう注文したケーキとコーヒーは頂いたはずだ。
……座って待ってて、とは?
私は首を傾げ、「いえ、会計して帰ります」と言ってみたものの、
店長は「ん?」と言いながら有無を言わせない笑顔を見せた。
まだ帰るなと言わんばかりに。
それは先ほどの目が笑っていない笑顔と同じで、私は何も言えずにこくこくと頷き、恐れ多くも店長に引いてもらった椅子へと座り直す。
なんだか……今までは爽やかイケメンだなぁとしか思っていなかった彼は、なかなか強引でしたたかな人らしい。
まあ、騒いでいた客がいなくなって、ゆっくり読書ができるようになったと思うか。
店長は私の目の前にある、空になったコーヒーカップをソーサーごと持ち上げた。
「コーヒーを入れ直してくるよ」
「へっ!?そんな、そこまでして貰わなくても!」