観念して、俺のものになって


ブルーマウンテンは、まさに私がボーナス日に飲んだお高いコーヒーである。


私があれをまた飲みたいと思っていること、なんで知ってるんだろう?


とにかく、棚ぼたなのは間違いない。

よし、断る理由が見当たらないしここはお言葉に甘えよう。


「.....じゃあ、ブルーマウンテン頂いてもいいですか?」

「かしこまりました」


店長の顔を伺うように返事をすると、彼は唇をふっと上げて微笑んだまま、踵を返した。


ほんと、いつ見ても綺麗な顔。

ここのお客さんは、圧倒的に女性が多い理由が分かった気がする。

だって、誰もがキュンとなるような素敵な笑顔で微笑まれたら、毎日でも通いたくなっちゃうよ!


そのままカウンターの奥へと戻って行く店長の後ろ姿をぼーっと見送った。

 

私は椅子に腰掛け、鞄からここで読むつもりだった文庫本を取り出す。

読みかけの栞を挟んだページを開き、なんとなく気になったので文庫本に視線を落とすフリをしながらカウンターの中へ引っ込んでしまった店長を視線だけで追いかける。


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