観念して、俺のものになって
その直後、まるっと衣服を剥かれた私はいつの間にか裸になっていた紬さんに抱きしめられた。
当たり前だけど人の肌って、直接触れると暖かい。
生きている証拠だ。
好きな人の温もりは言葉だけじゃ表せないほど愛しいと思う。
ずっと触れ合っていたくなるよ。
……なんて、私らしくない安っぽいポエムみたいなことを頭の中で思い浮かべながら、彼の広くて大きい背中へと腕を回す。
紬さんはゆっくりと時間をかけて私の一番奥を丁寧にほぐし、私と体を繋げた。
ひどく焦らされた私は涙を浮かべて、紬さんの背中へ爪を立てすがりつく。
「紬さん、紬さん……!!」
私に逞しい肉杭を打ち込みながら、紬さんは息を乱して眉をひそめる。
名前を呼ぶ度、紬さんは返事するように「まひるちゃん」と何度も呼んでぎゅうっと私を抱きしめてくれた。
なんだかそれが嬉しくて、私はもっと彼の名前を呼ぼうと唇を開いた瞬間、彼の黒い瞳と目が合った。
紬さんは、なんだか必死な顔をしていた。
それを見て、今更ながらに大切なことを伝えていなかったことに気がついた。
あなたがくれた愛情、今度は私が返す番。
彼に力一杯しがみついて、頑張って紡いでみせた。
「……紬さん、す、すきです……!!」
すると、紬さんは珍しく動揺した表情を見せ私に覆いかぶさり、痛いほどの力で私を抱きしめてきた。
「っく、今それを言われたら手加減できなくなるだろ!!」
少しの間、何かに耐えている様に唇を噛み締めていた紬さんは落ち着きを取り戻した後、
「俺としたことが余裕を失くすところだった」と溜息をついている。
「……俺も好き、ううん。
愛してるよ、“まひる”」
彼はちょっとはにかみながら眉を寄せ、繋がったまま顔をくしゃっとさせて笑った。
いつもの紬さんより、ずっと優しく見えるその笑顔に。
もしかしたら私はあのカフェで、紬さんに手を掴み上げられる、ずっと前から彼のことが好きだったのかもしれない、と思った。