観念して、俺のものになって


”いい人”の皮を被った腹黒店長は、さらにナルシストなんじゃないかと疑う。


店長に引きずられるように足を動かし続け、駅前の信号に差し掛かったところでやっと立ち止まった。


隣で「チッ」と舌打ちをする店長。


うわぁ、もう店を離れたら”いい人”の仮面も脱いでるじゃん。


私は彼を見上げ、息を切らしながら文句を言った。


「はぁっ……いったい、こんなに急いでなんなんですか……!!」


店長は仕方ない、とでも言いたげに首の後ろを掻いて、そっと私の耳元に唇を寄せた。


「……振り返らないで後ろを見て」

 
私はその言葉に顔をしかめる。

振り返らないで後ろを見るなんてどうやって……あっ!

しばらく考えて閃いた私は、店長と繋いでいた手を離して鞄からスマホを取り出し、インカメラを起動した。


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