婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 同じようにフードを深くかぶっているリューディア。一度崩落が起きた場所でもあるため、頭上から何が落ちてくるかはわからないから、気を引き締めて行けと、ヘイデンからは言われている。その際は、すかさず防御魔法を使いますと口にしたエメレンスであるが、その咄嗟の判断ができるかどうかというものは別物。

「ここの崩れ方が酷いね」
 崩れた場所に手を触れながらエメレンスが言う。
「まずは、崩れた箇所を記録していった方がいいですよね」

「そうだね」

 ファイルを手にしているリューディアが、崩落の起こった場所を丁寧に記録していく。エメレンスは見て、触れて、崩落の規模を確認する。これを全て確認するためには、十日程の時間が必要となりそうだ。それは他の仕事もあるため。

「ん?」
 崩落した法面に手を触れたエメレンスが顔を曇らせる。
「レン、どうかしましたか?」

「ちょっと。ここなんだけど……」
 エメレンスの言う()()にリューディアも手で触れる。

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