婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 そもそもリューディアのことを「可愛い」と表現してくれるのは家族しかいない。家族以外ではエメレンスがその言葉を口にして励ましてくれるだけ。だけどエリックは初めて会った時に「可愛らしい方」と表現してくれた。さらに今、眼鏡を外したリューディアを見て「可愛い」と口にした。これは「欲目」では無いのだろうか。

「エリック。女性の容姿に対して、そのようなことを口にするのは失礼だろ」

「え、だって。本当に可愛いじゃないですか。レンさんはそう思わないんですか? 本当にその顔でシャルコの街を歩いたら、すれ違う男性、皆が皆、可愛いって思いますよ。イルメリさんも美人だから、やっぱり姉妹なんですね」

 感心しているエリックに悪気はない。そして、可愛らしい女性を目にして、悪い気持ちもしない。むしろもっと愛でたいとさえ思う。
 リューディアの義姉であるイルメリは美人と言う表現がよく似合う女性だ。可愛いではなく綺麗。年相応の美しさ。それはリューディアが見てもそう思っているし、いずれは自分もそのような年の重ね方をしたいとさえ思っている。

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