婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「そうか。ここの人手不足も深刻なんだね」

「ですが。例の崩落事故で怪我をされて休んでいた方たちも、少しずつ回復されているようで。もう少ししたら復帰できそうだと、お兄さまが言っておりました」

「そうか、それは良かった」
 そうなったらエメレンスは王都へと戻ることになるだろう。だが、リューディアはどうするのか。

 事務所の近くまで来ると、ちょうどエリックも出勤したところで二人に気付けば「おはようございます」と駆け寄ってきた。

「朝からリディアさんにお会いできるなんて、今日はついてるかも」

「おはようございます」
「おはよう」
 リューディアはいつもと同じように、エメレンスは不機嫌そうにエリックに挨拶を返す。

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