婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「え。もしかして、ここの魔宝石が疑われているのですか?」

「そうです」
 リューディアが力強く頷くと、ブルースの顔はみるみるうちに青くなっていく。
「ですが、どうやら魔導具に使用されていたのは、ここのクズ石だったのです」

「え?」

「先ほども言いましたが、歪んでいるクズ石は魔力の制御ができません。ですから、魔導具に用いると、緻密な魔力制御を行うことができず、魔導回路が暴走します。それによって爆発事故が引き起こされました。ですが、世間はそう思っておりません。シャルコで採れた魔宝石を使った魔導具が爆発事故を起こした、と、そう思っております」
 半分はシオドリックとヘイデンから聞いたこと。もう半分は、リューディアのでっち上げ。これを聞いたブルースがどのような行動を起こすのか。

「そんなことになったら、オレたちの仕事が……」
 魔導具に使われていた魔宝石が爆発事故の原因で、その魔宝石がシャルコの採掘現場で採れたものであると判明したなら、誰もここの魔宝石を使いたいとは思わないだろう。いくらまだここで魔宝石が採れるとしても、危険性をはらんだ魔宝石ということで、買い手がつかなくなる。そうなってしまえば、ここで魔宝石を掘る意味がなくなり、あっけなく閉山へと追い込まれてしまうことが容易に想像できる。

「はい。そうなれば、ここは閉山となります」
< 178 / 228 >

この作品をシェア

pagetop