婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「だから、魔宝石やクズ石を盗んでいたんだろうな」
 ヘイデンの呟きを聞きながら、エメレンスは考える。フニペロ・メイソン。メイソン侯爵家。最近、それ以外でも聞いたことは無いだろうか。

「あ……。フリート・メイソン……」
 エメレンスが一人の女性の名を口にした。ヘイデンが敏感に反応する。
「フリート・メイソンは、フニペロの娘だろう」

「ええ、そうです。そうでした。そして、兄がリューディアとの婚約を解消してまで、結婚をしたいと口にした相手です」

「モーゼフ殿下が?」
 まさか妹のリューディアの婚約が解消された原因が、このメイソン侯爵家に繋がるとは思ってもいなかった。

「ですが、そもそも兄上があのフリートに惹かれる理由がわからない」

「いやいや、エメレンス殿下。恋は盲目というだろう? 人の恋路に口を挟むものではないよ」

「違うんです。兄上は、ずっとリューディアのことが()()()()()。リューディアのことをブスブス言いながらも、リューディアと会うことを楽しみにしていた」

「え?」
< 193 / 228 >

この作品をシェア

pagetop