婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
もちろん、それはリューディアにとって初耳だ。
「兄上はあんな性格だから。自分だけがリューディアを好きになっていることが悔しかったんです。だから、心にもないこと、リューディアのことを『ブス』と言って困らせていた」
「まるで、子供ね」
イルメリの呟き。
「はい。その件に関してだけ、まるで子供のような人なのです。だから、あの兄上がリューディアに向かって婚約解消を言い出すなんて、あり得ないと思っていた」
「だが、それでもモーゼフ殿下は婚約解消を願い出て、リューディアとの婚約は無くなった。それは紛れもない事実だ」
そのときの悲しそうな妹の顔を、ヘイデンは今でも覚えている。
「だから、おかしいんです。あの兄上にリューディアより好きな人がいるとは思えない。まして、フリート・メイソンという女性。はっきり言って、兄上の好みではありません。兄上の好みは、リューディアそのものですから」
このエメレンスからの告白に驚いたのはリューディアだけではない。ヘイデンもイルメリも。それはモーゼフがリューディアのことを「ブス」と言い、彼女を遠ざけていた、というのはコンラット公爵家の関係者であるならば、誰でも知っていること。それの真相が今、エメレンスの口から明かされたということ。
「モーゼフ殿下は、わたくしのことを嫌ってはいなかったのですか?」
「兄上はあんな性格だから。自分だけがリューディアを好きになっていることが悔しかったんです。だから、心にもないこと、リューディアのことを『ブス』と言って困らせていた」
「まるで、子供ね」
イルメリの呟き。
「はい。その件に関してだけ、まるで子供のような人なのです。だから、あの兄上がリューディアに向かって婚約解消を言い出すなんて、あり得ないと思っていた」
「だが、それでもモーゼフ殿下は婚約解消を願い出て、リューディアとの婚約は無くなった。それは紛れもない事実だ」
そのときの悲しそうな妹の顔を、ヘイデンは今でも覚えている。
「だから、おかしいんです。あの兄上にリューディアより好きな人がいるとは思えない。まして、フリート・メイソンという女性。はっきり言って、兄上の好みではありません。兄上の好みは、リューディアそのものですから」
このエメレンスからの告白に驚いたのはリューディアだけではない。ヘイデンもイルメリも。それはモーゼフがリューディアのことを「ブス」と言い、彼女を遠ざけていた、というのはコンラット公爵家の関係者であるならば、誰でも知っていること。それの真相が今、エメレンスの口から明かされたということ。
「モーゼフ殿下は、わたくしのことを嫌ってはいなかったのですか?」