婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「まあ、いい。そういう関係ってことで」

「はい、そういう関係になったと、ボクは思っています。両親にも伝えなければと思ったのですが、もう少し秘密の関係を楽しみたいので、まだ誰にも言ってませんが……」
 エメレンスが「秘密の関係」と口にしたときに反応したのはイルメリだけ。

「じゃ。そのときにそういう関係を公にしてきて欲しい。できれば、モーゼフ殿下の婚約発表の前の方がいい。一度、王族関係者から離れたリューディアが、再び関係者の婚約者となったら。恐らくメイソン一家は焦るだろう」

「つまり、リューディアを囮に使うと?」
 エメレンスは少しだけ腰を浮かした。

「まあ、囮になるかどうかはわからんし。向こうがそれに乘ってくれるかどうかもわからんが。周囲に刺激を与えるには充分な話題だな。それに、できれば婚約発表の前に、二人でモーゼフ殿下に会って欲しい。そして、二人でモーゼフ殿下に報告するんだ。そういう関係になった、ということを。そうなればすぐさまフリートという女性にも話は伝わるだろう。彼らを焦らせるためには、充分な代物だ」

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