婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 そんなエメレンスの姿を見て、ヘイデンは口元を緩めた。それから、妹に向かって優しく声をかける。

「ディア。お前はこれから、この国の腐りきった部分を目にするかもしれない。だけど、それに落ち込まず、この国を変えていくような、そんな気持ちを持ち続けて欲しい」
 今のリューディアにはこのヘイデンの言葉の意味が理解できなかったが、兄が兄なりにリューディアを励まそうとしているという気持ちだけは伝わってきた。

「昔から、三大魔法公爵家とメイソン侯爵家には、因縁めいたものがあるんだよな……」

 ヘイデンの呟きは、誰の耳にも届かなかった。
 そこへ、子供たちの元気な声が響いてきたので、この話し合いは終了となった。

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