婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 フリートはギリギリと唇を噛みしめる。モーゼフにかけた魅了の魔法が完全に解けている。それを解いたのは、そこにいるリューディア。フリートの顔には悔しさが溢れていた。ジリリと彼女から魔力が溢れ出る。

「君たち、フリート嬢を丁寧にもてなしてくれ。そう、場所はもちろん地下牢だ。リューディア、悪いがフリート嬢の魔力を全て封じてくれ。君ならできる」
 モーゼフの言葉に頷いたリューディアは、魔力の壁を作り上げそれでフリートの四方を覆った。その壁は次第にフリートへと押し寄せていき、やがて彼女へ吸収される。

「私の、私の、魔力が……」
 フリートが両手を見つめながら、暴れ出す。同時に三人の騎士に取り押さえられ、部屋から引きずり出されていった。

「リューディア、エメレンス。本当に助かった、ありがとう。まさしくナイスタイミングというやつだな。積もる話もあるからのんびりとお茶をと言いたいところだが、もう一匹の鼠もあぶり出さないとね」

「もう一匹の鼠?」
 リューディアは首を傾げた。

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