婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「どうやら、私の婚約発表をするために物事が進んでいたようだが、残念ながら私にはそのような相手がいない。だからエメレンス。その日は君たちの婚約発表の場にしようと思っているのだが、どうかな?」

 エメレンスは驚いてモーゼフを見た。彼の顔は喜悦に満ちている。

「それから、リューディア。私は君に謝らなくてはいけないことがたくさんある」

 モーゼフの言葉に、リューディアは黙って頷く。

「まずは、今回のこのメイソン侯爵家の悪事を暴くために君を巻き込んでしまった。君を危険な目に合わせてしまって申し訳ない」
 モーゼフは深く頭を下げる。リューディアは「はい」と小さく頷いた。
「それから、ずっと。君のことを『ブス』と言い続けたこと。心にも無いことをずっと言い続け、君を傷つけてきた」
 リューディアの瞳が儚く揺れる。
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